芸術の世界はいいものです。
Arts
芸術が「勉強」の対象になってしまうと「分からない」「窮屈」と
感じる事がありますが、 まず楽しむ事が一番です。
もちろん、優れた作品をもっと深く味わうのに集中と努力も必要な事は
否定致しません。
でも基本は音楽なら、まず無心に「聴く」ことだと思いますし、
絵画なら、一心に「見る」ことだと思っています。
芸術を論じる気はないですが、
芸術はけっして日常から遊離したものではありません。
部屋に一輪の花を飾ってみる。
全体がパァ~っと和やかになってくる。
これが美の力であり一つの芸術につながってくる。
料理もここにスダチを添えてみよう~
まぁ!料亭料理みたいになった!
これはまさに、家庭芸術ですね。
西洋では美術館に行く事は普通の事のようです。
昔は一部の王侯貴族、大富豪のみの特権だった美術品を、
「こら~~~!!私達にも見せんかい!!」と言って生まれたのが
美術館です。
「美」を「いいものを」皆で楽しみたいという
民衆の欲求の高まりで勝ち取ったものでした。
今でもゴッホミュージアムには、ひまわりの絵の前にドンと座って
その絵を描く、ちびっ子達が沢山います。
私の母もオランダに来た折に、ゴッホミュージアムに行きました。
母とゴッホの初めての出逢いです。
一人で6人の子供を必死で育てた母ですから、
一般的に言う芸術とは無縁な人でした。
ところが、入館するとゴッホの絵一点一点、をじっくり凝視しているのです。
最後は、ゴッホが亡くなる前に描いたといわれる絵から離れません。
小一時間そうしていました。
その夜、母は、家にあったゴッホの生涯の本を見て、
「皆んな、一生懸命生きていたんやね~」
と、ポロポロと涙を流していました。
私が「お母さん、ゴッホ知らなかったのに、
何であんなに丁寧に見ていたの、、」 と聞くと、
母は「お母ちゃんなぁ~感動してしもてん、、、
なんかなぁ~もう胸詰まってなぁ~
最後の三枚の絵、見ながらゴッホと話してたんや~」と言うのです。
それでゴッホについてもっと知りたくて、本を読んだそうです。
ロダンは芸術家にとって、
「肝腎な点は感動する事、愛する事、望む事、身震いする事、
生きる事です。芸術家である前に人間である事!」と、言われました。
その感動が作品を通してこちららの魂を揺さぶるのです。
それが芸術の体験です。
熱唱に涙する事ってありますよね。
美しい舞にこころ踊る時ってありますよね。
自分の心が豊かになる、楽しくなる、嬉しくなる、
そうして心が耕されてくる。
文化とは心を耕すことなんです。
文化は英語で「カルチャー」といいます。耕すと言う意味です。
芸と言う文字は苗木を持って植えるという形なのです。
そこにはもはや、国境はないのです、
人と人の温もりだけがあるのです。
芸術ってほんとうにいいものです。